8/10 北アルプス縦走最終日 奥穂高岳~ジャンダルム~西穂高岳

縦走2日目の夜は、大キレットで一緒になった新潟出身の方と乾杯
17時からの夕食まで大分時間があり、ゆったりと美味しいお酒が飲める。

何とも贅沢な時間を満喫していたところ、一人の男性がテント場でおもむろにケーナ(南米の尺八)を取り出し、名曲「コンドルは飛んでゆく」を吹き始めた。
美しく素晴らしい演奏で、広場にいたお客さんからは拍手喝采。
聴衆から招かれ、テント場から山荘前広場に移動し小コンサートに。

いいなぁ~(^o^)

お陰さまでますますいい気分になったので、無い懐からおひねりまでお渡しした(^^;)

18時前には夕食を済ませ、既に充分酔っていたので、テントに入った途端に眠りに落ちてしまった。

気が付いたら21時過ぎ。

ふと、翌日のジャンダルムにアタックする自分の様子を頭に浮かべたら、途端に緊張で目が冴えてきて、眠れなくなってしまった。

昨日までに出会った何人かの登山者との会話の中で、「ジャンダルムに登る」と言うと、多くの人は驚きの表情を浮かべた。

「自分にはとても出来ない」とか、「あまりに危険で、単独で行くなんて考えられない」とか…現に穂高岳まで登ってきている人や、自分よりも体力がありそうな人からそんな言葉を聞くと不安になってしまう。

  ○ これまでに登った山だって、いざ登ってみれば、写真や遠くから見た印象ほどの困難は無かったのだ。

  ○ 今回だって、落ち着いてアタックすればきっと登れる。

  ○ 無理を感じたら撤退ということも考えながら、行けるところまで行ってみよう。

いろんな思いを巡らせ、結局その後は全く眠ることが出来ないまま朝を迎えてしまった。



8月10日、縦走最終日。

今日は最終日にして、技術 ・ 体力共に最難関のコースである。

  奥穂高岳~ジャンダルム~西穂高岳~上高地

地図に記された標準コースタイムは11時間を超える。
夜明け前の朝4時には出発するつもりでいたのだが、夜中から一帯を覆っていたガスと風のため、ゆっくり朝食を摂って朝6時の出発となった。

夜明け前の4時半頃には、ヘッドランプを灯して出発した登山者が結構いたが、いくら天気予報が晴れの予報であっても、ガスと強風の穂高連峰をヘッドランプを灯して歩く気には…私はなれない。

穂高岳山荘を出発して間もなく、穂高連峰の主峰、奥穂高岳(3190m 国内第三位)山頂に到着。

相変わらずガスが多く、山頂は、一瞬でもガスが晴れる瞬間をねらってシャッターチャンスを待つ登山者で混み合っていた。

自分も暫くその輪に加わる。
 
程なくして、ガスがほんの何秒間か晴れ、ジャンダルムが迫力ある姿を現した。

素晴らしい山容!!

周囲から歓声が上がった。

ジャンダルムの頂上に立っている登山者の姿も見える。

   たまらなく格好いい!! 

   何としても、あの頂上に立ちたい!!

単純かもしれないが、奥穂山頂からジャンダルムの雄姿を一目見て、迷いは消えた。

写真はその時に見たジャンダルム

画像


自分の実力相応の行動というのは確かに大切だと思う。

でも、必ず達成できる!と信じて、それに向かって行動することが夢を現実化するための絶対条件であると思う。

確かに槍・穂高は初めてであるが、今日に向けてトレーニングを積んできた自分に登れない筈がない。

さあいよいよ、一般縦走路としては本邦最難関といわれるルートへのアタックである。


間もなく「馬の背」といわれる、このコース最大の難所に差しかかった。

     これは凄い…。 

     本当にここを行くのか…!?。

登山を始めてから4年になるが、自分が通過するルートそのものの様子に、初めて本気で恐怖感を感じた。

ここを「登る」のならまだ少しは安心感があるだろうに、今日は初体験でここを下りなくてはならない。

落ちたら確実に死ぬような高さに、まるで剃刀のような鋭い尾根。

画像


その尾根の様子は馬の背というより、まるで馬の「たてがみ」の上を渡る感じさえしてしまう。

岩嶺登攀の基本は三点確保といわれるが、瞬間的にではあるが、二点がやっとの所さえある。

しかもこの「たてがみ」は崩れやすく、安全を確かめずに安易に上部を掴んで体重を掛ければ崩落の危険性がある。

ここは、一切のミスが許されず、一歩一歩確実に進んで行ける者でなければ決して通れない場所なのだ。

何とか無事に馬の背を越え、その後も気の抜けないコースが続いたが、ジャンダルムはいよいよ目前に近づいて来ていた。

西穂高側の、ジャンダルムの取り付きまで来れば、荷物を置いて頂上まで一気に登れる。

ついにジャンダルムの頂上に到着。

画像


先に頂上にいた登山者と互いを讃え合い、ガスが晴れる瞬間を待つ。

30分近く、登頂の喜びに浸っていたところ、縦走の最初のピークである槍ヶ岳の穂先が徐々に姿を現し、やがて槍ヶ岳からジャンダルムまでの絶景が目前に広がった。

素晴らしい!!

この難ルートに挑み、ジャンダルムの頂に立った者にしか味わえない感動がそこにあった。

画像


ジャンダルムの頂上に居る間、日程上これから何時までにどこにいなくちゃいけない、なんていうことはどうでもよくなっていた。

ゆったりと頂上を満喫し、再び出発!!

このコースは、西穂高岳までは延々と緊張を強いられる難路が続き、悠々と歩けるような箇所は殆ど皆無である。

ジャンダルム登頂を果たしたからといっても、決して安心できるコースではないのだ。

正直、前日までの大キレットや北穂~涸沢の難所が、ほんの予行練習に思えてしまうくらいだった。

実際、ジャンダルムを離れて西穂高岳に向かう途中で2回程、ルート選択を誤ったために登り直したり方向を修正したり、このミスを取り返すため「馬の背」の通過に負けず劣らずの難関突破を強いられてしまった。

また、体力的にも、奥穂~ジャンダルムよりもジャンダルム~西穂間の方が相当アップダウンが激しく、厳しかった。

   そろそろ、緊張から解放されて悠々と歩きたい(^^;)。

   お腹空いてきた…。

美味しいと評判の西穂高山荘のラーメンが食べたい一心で昼食を我慢し、軽い行動食で済ませたため、またしてもシャリバテの感覚に陥った。(我ながら懲りない奴(^^;))

西穂高山荘に到着し、待望のラーメンを食す。

旨い!!!

長く険しい山々を越えてきた自分には、最高の御馳走である。

食後には何と、デザートとしてソフトクリームまで注文した。

こんな山の上でこんなに美味しいメニューが揃っていることに驚いた。

さて、美味しい食事のお陰ですっかり元気になり、西穂山荘から上高地まで深い森の中を一気に下りきった。
16時過ぎには上高地発のバスに乗ることが出来、しかも偶然、嬉しいことに穂高岳山荘で今朝話した方と同じバスだった。

マイカーを止めた沢渡温泉で汗を流し、そのまま運転して山形へ。


今回のコースは、通常3泊4日の日程で行くのが殆どである。

これを2泊3日で、最後まで元気に歩き通せた自分を誇らしく思った。


これまで出し惜しみしていた今回の山行写真をここで紹介します。
  https://picasaweb.google.com/105231772507634120780/UmNBLC03#




後記

実は、自分の中で今回の山行は、きっと何らかの区切りになるような気がしていました。

もしかすると、単独で山形県外の山に登るのは、これが最後になるかもしれないとか…。

挑戦的な登山は、もう最後かなとか…。

自己の大きな目標を達成し一週間が経とうとしていますが、今回の山行の余韻は格別に強いと感じています。
困ったことに、頭の中にジャンダルムや穂高の稜線、槍ヶ岳などの光景が、常に消えずに残ってしまっています(^^;)

  ○ 純粋に、山の中で過ごしていること自体が、とても心地良い。
 
  ○ 今回歩いた北アルプスの山々を含め、これからも、好きな山の魅力を大いに感じ取って、登り続けていきたい。

静かで落ち着いた、こんな心境になったのが、確かに一つの区切りなのかもしれない…。

 今は、そんな風に感じています。





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この記事へのコメント

2011年08月16日 07:40
凄い!!!
たった数年の登山経験で最難関のジャンダルムを・・・お見事でした・・・私にはとても無理ですが、まるで自分が登っている感覚でヒヤヒヤしながら写真と動画を見てました。 
2011年08月16日 12:19
う~さんさん
コメントありがとうございます。
これくらい手応えがある登山の後は、自分の中でその余韻がすごいです。
またこんな余韻に浸れるような登山ができればいいなと思っています。
NYAA
2011年08月19日 01:47
私も、昨年夏、トライしようと考えたのですが、やはり初めての穂高だったので、上高地から奥穂まで上がり、槍ヶ岳まで縦走しました。

今では、ネットから情報を入手できるので、コース選択を間違えなければ、危なくはないと聞きますが、やはりコース間違えしやすいところがあるんですね。
トラ山
2011年08月19日 08:01
素晴らしい山旅でした。
ついにここまで来ましたね。
単独行というのも良かったと思います。
ジャンダルム山頂のKaiyaさんの表情がすべてを表していますね。
2008年12月20日に雁戸山で偶然出会ってから、Kaiyaさんの山行に刺激を受けて私も山に登ってきました。
お互いの山行スタイルは違いますが、素晴らしい山旅を目指すのはというのは同じでしょう。
今はただ余韻に身をまかせてください。
2011年08月19日 10:14
NYAAさん
お久しぶりです。
今回はコースの情報を知りすぎると新鮮味が無くなってしまうような気がして、ネットでの具体的情報収集を殆どせずにアタックしました。
参考にしたのはヤマケイのガイドブックくらいでしょうか。
西穂~奥穂間は他のコースと比較して、マーキングの数が明らかに少ないです。
ルートファインディングに迷うような場所にも関わらず、辺り一面を見渡してやっとマーキング1個を発見できたり、あるいは全く見つからなかったり…。
歩いてみた印象では、このコースは西穂から奥穂に登るのが基本で、マーキングも西穂側から登ることを前提に記されていると思われます。
2011年08月19日 11:09
トラ山さんありがとうございます。素晴らしい山旅で充実感が一杯です。
トラ山さんの北アルプスはいかがでしたか?

>2008年12月20日に雁戸山で偶然出会ってから、Kaiyaさんの山行に刺激を受けて私も山に登ってきました。

トラ山さんからそのような言葉を頂けると、本当に嬉しいやら恥ずかしいやらです。私こそ、あの日に初めてお会いしてから、チャレンジ精神に溢れ、何にでも積極的に取り組むトラ山さんを尊敬し、目標にしている気持ちがあります。
今年の秋~冬にでも、のんびり一泊縦走とかで、ご一緒いかがですか?
NYAA
2011年08月19日 15:26
なるほど、そうでしたか。私が穂高岳山荘に宿泊した時、次の日、ジャンダルムに行くという人がいましたが、その人は、ビデオを見て予習したそうです(笑)

下りの場合、上りより怖いところがあるが、そこだけクリアすれば、後半が下りなので、体力的には楽だという話を聞いたことがあります。

しかし、マーキングは上り用なのですね。参考にさせていただきます。
2011年08月24日 09:17
NYAAさん
ジャンダルム~西穂間はアップダウンがかなり厳しくて、登りも下りも殆どコースタイムの差がありません。
地図上でも登りと下りの差は10分しかありません。
ですので、奥穂~西穂間は登りと下りを比較した場合、体力的な差もごく僅かだと思います。
でもピンポイント的なルートファインディングや、難所を通過する際の安全性を考えると、やはり私は西穂側から登る方をお薦めします。
ちなみに私は念のためGPSを持参し、地図上のルートを入力して使ってみましたが、奥穂~西穂間では殆ど意味がありませんでした。
というのは、例えば200メートル先の目標物は確認できるものの、そこにどういうルートで行くかの判断に迷う、というような箇所もいくつかあり、地図から拾った程度のGPS入力では殆ど意味を成さなかったのでした。
奥穂から西穂に下る場合、このコースを、全く迷うことなく進んだ方の軌跡を精度の良いGPSに転送すれば、相当役に立つとは思います。
senda3
2012年08月28日 15:20
それにしてもすごいバイタリティ。南岳~北穂の大機レットを難なく過ごし、奥穂~西穂の制覇には感動しました。ただ、北穂~涸沢岳が、南~北の大キレットより厳しいというのは、コンディションがそう思わせたのではないでしょうか。ここのキレットは注意さえ怠らなければ初心者に毛の生えた程度でも歩ける、と評されていますので。それにしてもすごい。西穂から上高地への下りの激しさも、呼吸の荒さとともに伝わってきます。素晴らしい、の一言です。(*.*)

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