4月19日 障子ヶ岳(朝日連峰)

障子ヶ岳…豪雪が創り出す峻険な山容は、標高が1481.5mの山であるという事実から想像できるイメージとかけ離れている。
無雪期でも結構な体力を要するこの山に、いつか積雪期に登りたいと思っていた。

今年の3月中旬、積雪期としては初挑戦で、登山口のある西川町大井沢地区まで車で来たのだが、その時は駐車場まで来た段階で、厳しい光景に怖じ気づいてしまい、車から一歩も降りることなく撤退…。
それまでは登山を覚え立てという勢いから、多少の無茶は承知で手強い山に突っ込んで行っていた自分が、初めて守りの姿勢に転じてしまった…そんな自分自身の状態がちょっとショックで、その後は車の中で30分余り、ぼーっとして過ごしてしまった。

障子ヶ岳は決して積雪期に一人で行ってはならない山なのかもしれない。

でも、雪に覆われた障子ヶ岳はさぞ壮絶で美しいだろう…と、登りたい気持ちはずっと残っていた。

今回、本当は前の日からテントの一泊で登るつもりだったのだが、17日の大雪の後、18日には雨が降った。
この春で最も雪崩の危険が高い日になるかも…。
そんな思いもあってやはり前日はテンションが下がってしまったのである。

そんな状態で迎えた4月19日、天候は晴れ。
自分でも無理な話だとは思ったが、ダメ元の日帰りで行けるところまで行こうと思い、障子ヶ岳を目指した。

西川町大井沢地区の温泉付近から車で林道に入る。
嬉しいことに林道は途中まで除雪が進んでいた。

スタート地点(除雪の終点)付近から見た障子ヶ岳。…遠い(^^;)

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朝10時過ぎ。除雪の終点付近から林道終点である夏場の登山口(紫ナデ~小障子コース)まで5㎞程歩く。
気温はきっと10度を超えているだろう。
Tシャツ1枚でも暑い。
17日に根雪の上に20センチ程積もった新雪がたっぷり水を含んで、べたべたに重い!!

トレースの全く無い山道の上に、多分、今日通った熊のものと思われる足跡。

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ずっと同じ方向に続いている。
このまま進んだら確実に出くわすのではないかと思ったら本気で怖くなり、がんがん熊鈴を鳴らしながら進んだ。
2㎞程同じ道を進んだ後、どうやら熊は別の方向に進んだようでほっとした。

熊の足跡と分かれた後はいよいよ両脇が切り立った尾根の急登である。

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べたべたの雪がカンジキにこびり付き、ほんの何歩か歩いただけで重さ3kg程の雪の塊になってしまう。
いちいち雪を落とさないと危険な上、体力もかなり消耗してしまう。
予想はしていたけど、なかなかキツいな~。
 
急斜面の雪面には亀裂が入り、雪崩れる寸前の状態。

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最もキツい登りを終え、障子ヶ岳が間近に見える。
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この時点で時刻は午後2時を迎えようとしている。
普通ならここで下山というのが登山のセオリーかもしれない。
でも、天候も穏やかだし、危険箇所を暗くなる前に下るつもりで行けるところまで行ってみることにした。
 
それにしてもさすが朝日連峰は豪雪地帯である。
こんな吹きだまりを越えて進んだ。
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ペースを上げて3時前には遂に紫ナデに到着。後方に以東岳が見える。
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目前に迫る障子ヶ岳。さすがに素晴らしい!!
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この日の日没は午後6時30分。

この調子なら下山開始を午後4時にして、ヘッドランプを灯して下山することも可能か…とも思った。
あと30~50分で確実に山頂に立てるのだ。
だが、一休みして冷静に考えれば、やはり登りでさえ恐怖感があった痩せ尾根を明るいうちに確実に降り切らなくてはならなかった。
 
悔しいけど登頂は断念することにした。

予想どおり下りの痩せ尾根は雪も崩れやすくかなり怖かったが、シリセード(尻滑り)が可能なところもあり、予想よりもかなり早く下山できた。

車に戻ったのが6時半過ぎ。

結果論でいえば今回、その気になれば登頂できた。
でも、折り返した地点での判断ということを考えれば仕方のないことであった。
全面を雪に覆われた障子ヶ岳に登れる機会は、この春としては最後だと思う。

今度は初夏かな。

でも、また次の冬にも来ようと思う。

以下の写真は下山時に撮影したもの。

月山
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大桧原山
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大桧原山~赤見堂岳。冬にしか登れない、素晴らしい山。
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登ってきた尾根を振り返る。
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障子ヶ岳
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障子ヶ岳
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障子ヶ岳
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障子ヶ岳
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ここの下りはなかなか怖かった。
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出発点付近から見た障子ヶ岳。…我ながらよく歩いた(^^;)
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除雪の終点。出発時より3km程進んでいた。
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この記事へのコメント

kurumi
2010年04月29日 12:47
紆余曲折経ての日帰り紀行、
「何か」が凝縮されていて、迫ってきます。

冒頭の方では、山vs人間の永遠の謎、
何故、そうまでして登る?
読み進み、そして数々の美しい写真を観れば、
そりゃあ、登るよね!

そして、直前で引き返す勇気!
最高です。(そして最高の夫、最高の父)
感動しました。

2010年04月30日 01:29
kurumiさん
どうもありがとうございます!
こんなに褒めて頂いて、嬉しいやら恥ずかしいやら(^^;)
同じ山でも、例えば厳冬期の様子を体感したい、なんて考えれば、仕事をしながらだとなかなかいいチャンスには出会えません。
冬の障子ヶ岳も自分にとっていい時期に登れるのは何年後になることやら。
そう考えると地元の山を登り尽くすまで一生掛かっても足りないかもしれませんね。

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